【ドローン国家資格・学科試験】無人航空機の飛行の安全に関する教則【無人航空機の操縦者,及び運航体制】

ドローン国家資格

この記事では、ドローン国家資格<学科試験>の公式テキストである

「無人航空機の飛行の安全に関する教則<国交省公式>」

無人航空機の操縦者及び運航体制(教則P47~P57)について解説します

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<この記事でわかること・解決する問題>  
学科試験(無人航空機の飛行の安全に関する教則<国交省公式>)内容のわかりにくい所を、図や実例を用いて分かり易く解説し、「なぜこのような制度なのか?」という理由を掘り下げて解説することを目指す

〇 前回の記事「無人航空機のシステム ~その2」はこちら

【ドローン国家資格・学科試験】無人航空機の飛行の安全に関する教則【無人航空機のシステム 〜その2】
この記事では、ドローン国家資格<学科試験>の公式テキストである「無人航空機の飛行の安全に関する教則<国交省公式>」のフライトコントロールシステム、送信機、点検・整備(教則P36~P46)について解説します<誰に対し...

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6. 無人航空機の操縦者及び運航体制

6.1 操縦者の行動規範及び遵守事項

6.1.1 操縦者の義務

(1) 操縦者の義務の概要

航空法においては、無人航空機を安全に飛行させるため、操縦者に対して様々な義務を課している。 これらには、無人航空機を飛行させる者として遵守することが求められる規範ともいうべき根本的なルールが含まれている。

(2) カテゴリーIII飛行の操縦者に追加で義務付けられる事項〔一等〕

カテゴリーIII飛行を行う場合には、操縦者は一等無人航空機操縦士の技能証明の取得が必要である。 また、その運航の管理が適切に行われることについて、国土交通大臣の許可・承認を受ける必要がある。許可承認を受ける運航管理体制の構築に当たっては、操縦者がリスクの高い飛行を行うことについて責任を自覚し、運航の中心的な役割を果たさなければならない。

6.1.2 運航時の点検及び確認事項

(1) 安全運航のためのプロセスと点検項目

操縦者は無人航空機を安全に運航するために、点検プロセスを定め、そのプロセスごとに点検項目を設定する。点検プロセスは機体メーカーの指示する内容に従って実施すること。

点検プロセス点検内容項目例
1) 運航の事前準備運航目的に応じて必要な装備、設備の設置を行い、必要な許可・承認や機体登録の有効期間が切れていないかを確認する。① 無人航空機の登録情報及び有効期間、使用の条件(運用限界) 、整備状況
② 操縦者技能証明の等級・限定・条件及び有効期間
③ 飛行空域及び周辺環境の確認
 >地上又は水上の状況、障害物や安全性に影響を及ぼす物件(高圧線、変電所、電波塔、無線施設等)の有無、航空法の規制空域(空港周辺、DID地区)の有無、小型無人機等飛行禁止法の飛行禁止空域、緊急用務空域、飛行自粛空域等の該当の有無 等
④ 第三者の有無、航空機や他の無人航空機の飛行状況
⑤ 最新の気象状況(天気、風向、警報、注意報等)
⑥ 航空法その他の法令等の必要な手続き
>国交省の飛行許可・承認の取得 、必要な書類の携行(技能証明書、飛行日誌、飛行の許可・承認書 等) 、航空法以外の法令等の必要な手続き 等
⑦ 立入管理措置・安全確保措置
・飛行マニュアルの作成
・第三者の立入りを管理する措置
・安全管理者や補助者等の配置・役割・訓練状況 ・緊急時の措置(緊急着陸地点や安全にホバリング・旋回ができる場所の設定等) 等
⑧ 飛行計画の策定及び通報
上記事項を踏まえ飛行計画を策定 ・ドローン情報基盤システム(飛行計画通報機能)に入力し通報
2) 飛行前の点検機体を飛行させる前に必ず行うべきであり、無人航空機が正常に飛行できることを最終確認する。① 各機器は安全に取り付けられているか(ネジ等の脱落やゆるみ等)
② モーターや発電機に異音はないか
③ 機体(プロペラ、フレーム等)に損傷やゆがみはないか
④ バッテリー充電量や燃料の搭載量は十分か
⑤ 通信系統、推進系統、電源系統及び自動制御系統は正常に作動するか
⑥ 登録記号(試験飛行届出番号及び「試験飛行中」)について機体に表示されているか
⑦ リモートID機能が正常に作動しているか(リモートID機能を有する機器を装備する場合)
3) 飛行中の点検飛行中の機体の状態や、機体の周囲の状況を確認する。① 無人航空機の異常の有無 ・計画通りの経路・高度・速度等の維持状況(風に流されていないか、ライトの点灯状態は正常か、等)
② 飛行空域及びその周囲の気象の変化 (雨が降っていないか、風が強くないか)
③ 航空機及び他の無人航空機の有無 ・第三者の有無、野鳥や他飛行物体の有無 等
4) 飛行後の点検無人航空機が飛行終了後に直ちに行うべき点検である。① 各機器は確実に取り付けられているか(ネジ等の脱落やゆるみ等)
② 機体(プロペラ、フレーム等)に損傷がゆがみはないか
③ 各機器の異常な発熱はないか
5) 運航終了後の点検当日の運航終了後に行うべき点検である。無人航空機保管時の点検や、飛行日誌の作成などを行う。① 機体やバッテリー等を安全な状態で適切な場所に保管
② 飛行日誌の作成(飛行記録、日常点検記録及び点検整備記録) 等
6) 異常事態発生時の点検飛行中に異常事態発生が発生した際に確認するべき点検である。危機回避行動を行い、安全に着陸するための項目を確認する。① あらかじめ設定した手順等に従った危機回避行動をとる
② 事故発生時には、直ちに無人航空機の飛行を中止し、危険を防止するための措置を取る
・負傷者がいる場合はその救護・通報 ・事故等の状況に応じた警察への通報 、火災が発生している場合の消防への通報 等
③ 事故・重大インシデントの国土交通省への報告

(2) ガソリンエンジンで駆動する機体の注意事項

ガソリンは危険物に該当するため、乗用車等で運搬する場合には、消防法で定められた 22リットル以 下の専用の容器で運搬することが必要である。エンジン駆動の場合には機体の振動が大きいため、ネジ 類の緩みなどを特に注意して点検する必要がある。

(3) ペイロードを搭載あるいは物件投下時における注意事項

投下場所に補助者を配置しない場合、物件投下を行う際の高度は 1m 以内

 

6.1.3 飛行申請

(1) 国土交通省への飛行申請について

航空法においては、一定のリスクのある無人航空機の飛行(カテゴリⅡおよびカテゴリⅢの飛行)については、そのリスクに応じた安全を確保するための措置を講ずることや、国土交通大臣から許可又は承認を取得した上で行うことを求めてい る。申請書については、当該申請に係る飛行開始予定日の 10 開庁日前までに、所定の提出先に提出す る必要がある。

(2) カテゴリーIIIの飛行申請について〔一等〕

カテゴリーIII飛行を行う場合には、
・一等無人航空操縦士の技能証明を受けた者、第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させる
ことに加えて、
・その運航の管理が適切に行われることについて、国土交通大臣から許可又は承認を取得する
必要がある。

具体的には、想定されるリスクの分析と評価を実施し、のリスク軽減策(非常時の対処方針や緊急着陸場所の設定など)を講じ、リスク評価結果に基づき作成した飛行マニュアルの提出を行い、運航の管理が適切に行われることについて申請しなければならない。
また、飛行の許可・承認 の審査において、無人航空機を飛行させる者が適切な保険に加入し賠償能力を有することの確認を行うこととしている。
カテゴリーIII飛行については、通達「無人航空機のカテゴリーIII飛行の許可・承認に関する審査要領」 に従って申請書を国土交通省航空局に提出しなければならない。

 

6.1.4 保険及びセキュリティ

(1) 損害賠償能力の確保について

無人航空機を飛行させる場合、飛行中における航空機や他の無人航空機との接触、又は衝突・落下等によって、地上の人又は物件との衝突により損害を与えることが想定され、その場合には当該損害を賠償することが求められることがある。このことから、無人航空機を飛行させる場合には、万一の場合の賠償能力を確保しておくために損害保険に加入しておくことが有効である。
国土交通省は加入している保険の確認など賠償能力を有することを、許可・承認の審査の際に確認している。カテゴリⅢ等リスクの高い場合には、相応の賠償能力を有する保険に加入していることが推奨される。
無人航空機の保険については大きく分けて以下の種類がある。

【機体保険】 機体やカメラ自体の損傷に対する保険
 ※機体が見つからないと保険が適用されないケースがあるため注意すること。
 ※荷物輸送においては、輸送物が保険対象に含まれるか確認すること。

【損害賠償責任保険】 無人航空機を運航したことによっておこる損害に対する保険(対物・対人)

 ※対人保証は、100,000,000円(1億円)以上の保証が望ましい

(2) 無人航空機に係るセキュリティ確保について

無人航空機は、それ自体の財産的な価値を狙った盗難の他、犯罪やプライバシー侵害等の目的で悪用することを意図した運航の妨害や、コントロールの奪取の危険がある。特に無人航空機が悪用された場合、第三者に被害が及ぶことが懸念されることから、無人航空機の所有者及び操縦者は、このような危険から当該無人航空機を守るため、セキュリティの確保に取り組まなければならない。
無人航空機のセキュリティ対策として最も基本的なものは、当該無人航空機及びその遠隔操縦のための機器を適切に管理することで、盗難等を防止することである。
無人航空機にはプログラムに基づき自動又は自律で飛行するものも多くあり、そのようなものは、プログラムを不正に書き換えられる等により、悪用される可能性がある。航空法に基づく機体認証・型式認証に係る安全基準は、サイバーセキュリティの観点からの適合性が証明されることも求めており、認証を受けた機体は一定の対策がされているとみなされることから、機体認証・型式認証を受けた機体を利用することで、リスクの軽減策となる。

6.2 操縦者に求められる操縦知識

6.2.1 離着陸時の操作

(1) 離着陸時に特に注意すべき事項(回転翼航空機(マルチローター))

1) 離陸
回転翼航空機(マルチローター)はコントローラー等によるスロットル操作によって高速に回転する翼から発せられる揚力が重力を上回ることにより離陸する。
機体重量 1.5kg ほどの回転翼航空機(マルチローター)を例にすると、離陸直後から対地高度1m程度までの間は、回転翼から発せられる吹きおろしの気流が地面付近で滞留し、揚力が増す現象「地面効果」が起こりやすくなる。

2) ホバリング
離陸後、任意の対地高度で一定の高度と位置を継続的に維持することをホバリングという。
ホバリング状態の機体は回転翼から発せられる揚力と、重力のバランスが保たれている状態を維持している。
回転翼航空機(マルチローター)が飛行時に高い安定性を確保するために方位センサ、地磁気センサ や GNSS 受信機、気圧センサが用いられているが、緊急時にはセンサ類に頼らない手動操作によるホバリングも要求される。

3) 降下
機体を降下させるには、スロットル操作を徐々に弱め揚力を減少させる。
機体を垂直降下させる時に、吹きおろした空気(ダウンウォッシュ)が再び吸い込まれ、回転翼の上下で空気の再循環が発生し急激に揚力を失う現象「ボルテックス・リング・ステート」が発生する。この状態は揚力を失いやすく操縦不能・墜落の危険が高まる。
降下の際は水平方向の移動を合わせて操作することで墜落防止対策となる。

4) 着陸
降下を継続し着陸を行う際には、対地高度に応じて降下速度を減少させる。着地後にローターの回転を停止させる。

5) GNSSを使用しない操作
緊急時には GNSS 受信装置による機体位置推定機能を使用しない機体操作が求められる。
 A) GNSSを使用しないホバリング
 ホバリング中 GNSS 受信機能を無効にすると、機体周辺の気流の影響で水平位置が不安定となるた めエレベーター操作及びエルロン操作により水平位置を安定させホバリング飛行を維持させる。
 B) GNSSを使用しない着陸
 上述の操作によりホバリングを安定させながら、スロットル操作により機体を降下させ着陸させる。
機体を垂直降下させる時に発生する「ボルテックス・リング・ステート」や、「地面効果」を抑制するために、細かくエレベーター又はエルロン操作などを行いながら、機体を着地させ着陸を完了させる。

 

(2) 離着陸時に特に注意すべき事項(回転翼航空機(ヘリコプター))

1) 離着陸地点の選定

  • 水平な場所を選定すること。傾斜地ではテール部などが地面に接触する恐れがある為避ける。
  • 滑りやすい場所を避けること。離陸前はヨー軸制御が不十分になり回転する恐れがある。
  • 砂又は乾燥した土の上は避けること。ダウンウォッシュによる砂埃等が飛散する恐れがある。

2) 離陸方法

  • 十分にローター回転が上昇してから離陸すること。無理に離陸させると、機体の反応が遅れることがあり危険である。
  • テールローターの作用で離陸時に機体が左右いずれかに傾く場合がある。傾く方向はローターの回転方向により異なる。予め傾く方向を確認した上で離陸させること。
  • ローター半径以下の高度では地面効果の影響が顕著となり、機体が不安定になる。離陸後は速やかに地面効果外まで機体を上昇させること。
  • やむを得ない場合を除き垂直方向の急上昇は避けること。ローター回転が低下し、機体が不安定になる恐れがある。

3) 着陸方法

  • 地面に近づくにつれ降下速度を遅くし、着陸による衝撃を抑えること。衝撃が大きい場合、脚部が変形又は破損するおそれがある。
  • 地面効果範囲内のホバリングは避け、速やかに着陸させること。
  • 接地後、ローターが停止するまで、機体に近づかないこと。

 

(3) 離着陸時に特に注意すべき事項(飛行機)

1) 離着陸地点の選定
 滑走路は水平で草などが伸びていない場所を選定すること。傾斜地では滑走中に不安定になり、 また草などが伸びているとプロペラに接触し飛行ができないおそれがある。
 飛行機の離着陸は風向が重要である。離着陸の方向は向かい風を選ぶのが原則である。横風であってもできる限り向かい風方向を選択する。追い風で行うと失速の危険性が生じ、失速しない速度にすると滑走路を逸脱する危険が生じる。

2) 離陸方法
向かい風方向に滑走できるエリアを確保できたら離陸操縦に入る。
 風速を考慮し適切なパワーをかけてエレベーターによる上昇角度をとり離陸する。
 上昇角度は失速しないように設定する。安全な高度まで機体を上昇させる。

3) 着陸方法
向かい風方向に滑走できるエリアを確保できたら着陸操縦に入る。
 地面に近づくにつれ、降下速度を遅くし、滑空着陸による衝撃を抑えること。衝撃が大きい場合、
脚部が変形又は破損するおそれがある。
 目測の誤りにより滑走路を逸脱することがあるので、厳重に注意が必要である。

(4) カテゴリーIII飛行において追加で必要となる離着陸の注意点〔一等〕

カテゴリーIII飛行において、離着陸時では以下に注意して行わなければならない。
 離着陸に際しては、機体と人が接触するなど第三者の安全が損なわれるおそれがないようにする。
 離着陸時ローターから発せられる風の影響を受け、物などが飛ばされないようにする。
 近接壁面や構造物により、離着陸時に機体が不安定になるような環境は離着陸エリアにしない。
 離着陸エリア上空周辺に電線などの障害物がない、又は回避できる空域を選ぶ。

 



6.2.2 手動操縦及び自動操縦

(1) 手動操縦・自動操縦の特徴とメリット

1) 無人航空機の操縦方法(自動操縦と手動操縦)
無人航空機は優れた安定性と高い飛行性能から、人による手動操縦だけでなく、自動操縦(アプリケーション等で事前に設定した飛行経路を自動的に正確に飛行する)が可能となっている。
自動操縦中に機体に付属している撮影用カメラ等を人が操作するような複合的な操縦も行える。

対して、手動操縦は送信機のスティック操作により機体の移動を命令して行う。操縦者の操縦技量によって飛行に安定性に差が生じるが、操縦技量が向上すると自動操縦では実現できない複雑で変化に対応した機体の操作が行える。

2) 手動操縦の特徴とメリット
手動操縦は、無人航空機の安定飛行に必要な GNSS 受信機やセンサを搭載した機体を、コントローラースティックで意図した方向に飛行させる制御を全て人が行う。
操縦者の習熟度によって飛行高度の微調整や回転半径や航行速度の調整、遠隔地での高精度な着陸など細かな操作が行え、複雑な構造物の点検作業や耕作地の農薬散布、映画のような芸術性を要求される空撮などに手動操縦が活躍する。
安定した飛行に使われている GNSS 受信機や電子コンパス、気圧センサなどが何らかの原因により機能不全に陥ったときには手動操縦による危険回避が求められる。
定められた航路を高精度に飛行をするなど、高い再現性を求められる操縦には不向きである。

手動操縦は無人航空機を精細に制御できる反面、操縦経験の浅い操縦士が操作を行うと様々な要因で意図しない方向に飛行してしまう場合がある。これは操縦者の視線と回転翼航空機の正面方向が異なる場合に発生しやすい。さらに機体との距離が離れると障害物との距離差が掴みにくくなり接触しやすい。
これらのリスク回避には、機体をあらゆる方向に向けても確実に制御できる訓練、指定された距離での着陸訓練などが有効。

3) 自動操縦の特徴とメリット
飛行を制御するアプリケーションソフトに搭載されている地図情報に、予め複数の飛行時のウエイポイ ント(経過点)を設定し飛行経路を作成する。ウェイポイントは地図上の位置情報の設定だけでなく、機体の向きや高度、速度など詳細な設定が可能である。
手動操縦に比較して、再現性の高い飛行を行うことができるため、経過観察が必要とされる用地や、離島への輸送、生育状況を把握する耕作地などの飛行に利用される。

ウェイポイント設定時、飛行経路上の障害物等の確認不足によって衝突や墜落が発生することが想定できる。設定した飛行経路上の障害物等は事前に現地確認を行うこと。

(2) 自動操縦と手動操縦の切り替えにおける操作上の注意と対応

自動操縦中、下記のような状況下で手動操作に切り替える場合がある。
  作業指示による手動操作
  何らかの原因で不安定な飛行と判断した場合
手動操縦に切り替えた後は、急な航行速度の低下や失速に備えた操作準備や、障害物への接近を避けるための機体方向の確認、ホバリングしての機体の安定性や周囲の安全の確認などが必要となる。

(3) カテゴリーIII飛行において追加となる自動操縦の注意点〔一等〕

カテゴリーIII飛行の自動操縦時では、飛行経路及び周辺に送電線や構造物が障害とならない飛行範囲や経路を事前に確認し設定する。また、鳥などの野生動物からの妨害を想定し防御や手動操縦での切り替えを速やかに行える体制を整えておく必要がある。

6.2.3 緊急時の対応

緊急時には、離陸地点などに戻すことを前提とせず、速やかに近くの安全な無人地帯へ不時着させる。

(1) 機体のフェールセーフ機能

送信電波や電源容量の現象などにより飛行が継続できない場合、又は継続できないことが予想される場合は、予め飛行制御アプリケーションのフェールセーフ機能により、自動帰還モードへ切り替わり 、 離陸地点へ飛行する(RTH:リターントゥホーム機能)。さらにバッテリー残量が極端に少ない場合などはその場で自動着陸を試みる。 フェールセーフ機能発動時、機体の動作をホバリング、その場で着陸、自動帰還など設定変更できる機体もある。

(2) 事故発生時の運航者の行動について

運航者は事故発生時においては、直ちに無人航空機の飛行を中止するとともに、
第一にその負傷者の救護及び緊急通報事故等の状況に応じた警察への通報火災が発生して いる場合の消防への通報など、危険を防止するための必要な措置を講じ、
第二に当該事故が発生した日時及び場所等の必要事項を国土交通大臣に報告しなければならない。

(3) カテゴリーIII飛行において追加となる緊急時対応手順〔一等〕

第三者上空飛行中に何らかの原因で緊急時の対応が求められた時に備えて、予め対応手順を決め速やかに緊急対応作業が行えるよう継続した訓練が求められる。
  GNSS による位置の安定機能を用いない飛行訓練
  機体寸法に応じた緊急着陸地点の確保
  フェールセーフ機能が動作しない飛行距離等の把握
  墜落時の安全優先順位の明確化
  機体が発火した際の消火方法
  緊急連絡網の作成



6.3 操縦者のパフォーマンス

6.3.1 操縦者のパフォーマンスの低下

操縦者は疲労を感じても飛行を継続してしまう傾向にあるため、適切に飛行時間を管理する必要がある。操縦者が高いストレスを抱えている状態は安全な飛行を妨げる要因となるため、操縦者との適切なコミュニケーションを運航計画(飛行計画の作成、運航体制の構築、飛行前の準備、飛行中及び飛行後の対応等の一連の運航全般に係る計画をいう。以下同じ。)に組み込む等ストレス軽減を図る必要がある。

6.3.2 アルコール又は薬物に関する規定

前夜に飲酒した場合でも、翌日の操縦時までアルコールの影響を受けている可能性があることに注意が必要であり、アルコール検知器を活用することも有用である。

 



6.4 安全な運航のための意思決定体制(CRM 等の理解)

6.4.1 CRM (Crew Resource Management)

事故等の防止のためには、操縦技量(テクニカルスキル)の向上は有効な対策だが、これだけでは人間の特性や能力の限界からヒューマンエラーを完全になくすことはできない。

これに対処するためには、全ての利用可能な人的リソース、ハードウェア及び情報を活用した「CRM (Crew Resource Management)」というマネジメント手法が効果的である。
CRM を実現するために「TEM(Threat and Error Management)」という手法が取り入れられている。※ここで「スレット(Threat)」は「エラー(Error)」を誘発する要因のこと
 □ 操縦者だけではスレット やエラーの発生状況を把握することが困難な場合があり、この場合適切な対処がとれず事故等につながるおそれがある。
 □ このため、補助者や関係者との相互監視・確認、機体や送信機の警報、飛行空域周 辺状況に関する最新情報の入手など、全ての利用可能なリソースを活用し、
 □ エラーにつながりかねない スレット(気象の変化、疲労、機材不具合など)の発生状況を早期に把握・管理し、万一エラーが発生しても事故等に至らないように適切に対処しようとする手法である。

CRM を効果的に機能させるための能力は、状況認識、意思決定、ワークロード管理、チームの体制 構築、コミュニケーションといったノンテクニカルスキルである。

6.4.2 安全な運航のための補助者の必要性、役割及び配置

無人航空機を飛行させる操縦者は機体の動きや操縦に集中する必要があり、離着陸エリアを含めた飛行経路の管理を操縦と同時に行うことが困難であるため、飛行準備や飛行経路の安全管理、第三者の立ち入り管理などは補助者が主として行う必要がある。
補助者は、離着陸場所や飛行経路周辺の地上や空域の安全確認行うほか、飛行前の事前確認で明らかになった障害物等の対処について手順に従い作業を行う。
操縦者とのコミュニケーションは予め決められた手段を用いて行い、危険予知の警告や緊急着陸地点への誘導、着陸後の機体回収や安全点検の補助も行う。
無人航空機の飛行経路や範囲に応じ補助者の数や配置、各人の担当範囲や役割、異常運航時の対応方法も決めておく必要がある。

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