この記事では、ドローン国家資格<学科試験>の公式テキストである
航空法以外の法令(教則P24~P28)について解説します
<(誰に対して提供するか)>ドローンの国家資格(無人航空機操縦者技能証明)の学科試験を 高額なスクールや教材を使わずに、無料で独学で勉強しようとしている方へ
<この記事でわかること・解決する問題>
学科試験(無人航空機の飛行の安全に関する教則<国交省公式>)内容のわかりにくい所を、図や実例を用いて分かり易く解説し、「なぜこのような制度なのか?」という理由を掘り下げて解説することを目指す
〇 前回の記事「法規制~その2 航空法の無人航空機規制に関する詳細」はこちら
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その3 航空法以外の法令・政令
3.1 小型無人機等飛行禁止法
(3.1.1) 制度概要
小型無人機等飛行禁止法は、政府の重要施設に対する危険を未然に防止することを目的として、重要施設上空及びその周囲おおむね 300m の周辺地域の小型無人機等の飛行を禁止するものである。
(3.1.2) 飛行禁止の対象となる小型無人機等
小型無人機等飛行禁止法により重要施設及びその周辺地域の上空の飛行が禁止される対象は、小型無人機及び特定航空用機器であり、具体的には
A.小型無人機
飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他の航空の用に供することができる機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの。
航空法の「無人航空機」と異なり、「小型無人機」は大きさや重さにかかわらず対象となり、 100グラム未満の模型航空機も含まれる。
(‼)航空法は、人や物の安全を主に考えられているが、この法律は情報保護も考慮しているから、機体の重さは関係ないんだ。
B. 特定航空用機器
航空機以外の航空の用に供することができる機器であって、当該機器を用いて人が飛行することができるものと定義されており、気球、ハンググライダー及びパラグライダー等が該当する。
(3.1.3) 飛行禁止の対象となる重要施設
小型無人機等飛行禁止法により、重要施設の敷地・区域の上空(レッド・ゾーン)及びその周囲おおむね 300m の上空(イエロー・ゾーン)においては小型無人機等を飛行させることはできない。
その対象となる重要施設は以下のとおり。
国の重要な施設等 | 国会議事堂、内閣総理大臣官邸、最高裁判所、皇居等 危機管理行政機関の庁舎 対象政党事務所 |
外国公館等(外務大臣指定) | □米国領事館 等 |
防衛関係施設(防衛大臣指定) | 自衛隊施設 在日米軍施設 |
主要空港(国土交通大臣指定) | 新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、大阪国際空港、関西国際空港、福岡空港、那覇空港 |
原子力事業所(国家公安委員会指定) | 各地の原子力発電所 等 |
このほかにも、外国要人の来日等に伴い、一時的に対象施設が追加されることがある。詳細については、警察庁ホームページなどを参照すること。
(3.1.4) 飛行禁止の例外及びその手続き
小型無人機等の飛行禁止の例外は、次に掲げる場合に限られており、航空法に基づく飛行の許可・ 承認や機体認証・技能証明を取得した場合であっても小型無人機等を飛行させることはできない。
(A) 対象施設の管理者又はその同意を得た者による飛行
(B) 土地の所有者等又はその同意を得た者が当該土地の上空において行う飛行
(C) 国又は地方公共団体の業務を実施するために行う飛行
ただし、対象防衛関係施設及び対象空港の敷地又は区域の上空(レッドゾーン)においては、
上記(b)又は(c)であっても対象施設の管理者の同意が必要となる((a)の飛行のみ可)。 飛行禁止の例外にあたる場合であっても、対象施設及びその周囲おおむね 300m の周辺地域の上空で小型無人機等を飛行させる場合、都道府県公安委員会等へ通報しなければならない。
(3.1.5) 違反に対する措置等
警察官等は、小型無人機等飛行禁止法の規定に違反して小型無人機等の飛行を行う者に対し、機器の退去その他の必要な措置をとることを命ずることができる。また、やむを得ない限度において、小型無人機等の飛行の妨害、破損その他の必要な措置をとることができる。
対象施設の敷地・区域の上空(レッド・ゾーン)で小型無人機等の飛行を行った者及び警察官等の命令に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる。
3.2 電波法
(3.2.1) 制度概要及び無人航空機に用いられる無線設備
無人航空機は、操縦や画像伝送のために電波を発射する無線設備が機体・送信機に利用されている。 これらの無線設備を日本国内で使用する場合には、電波法に基づき、国内の技術基準に合致した無線設備を使用し、原則、総務大臣の免許や登録を受け、無線局を開設する必要がある(微弱な無線局や一部の小電力の無線局は除く)。本制度の詳細については、総務省電波利用ホームページ等で確認すること。
国内で無人航空機での使用が想定される主な無線通信システムは以下のとおり。
(3.2.2) 免許又は登録を要しない無線局
発射する電波が極めて微弱な無線設備や、一定の技術的条件に適合する無線設備を使用する小電力の無線局については、無線局の免許又は登録が不要である(スマートフォンも無線設備だが登録不要なのはこのため)。無人航空機には、ラジコン用の微弱無線局や小電力データ通信システム(無線 LAN 等)の一部が主として用いられている。
A. 微弱無線局(ラジコン用)
ラジコン等に用いられる微弱無線局は、無線設備から 500 メートルの距離での電界強度(電波の強さ)が 200μV/m以下のものとして、周波数などが総務省告示で定められている。無線局免許や無線従事者資格が不要であり、主に、産業用の農薬散布ラジコンヘリ等で用いられている。
B. 一部の小電力の無線局
空中線電力が 1W 以下で、特定の用途に使用される一定の技術基準が定められた無線局については、免許又は登録が不要である。例えば、Wi-Fi や Bluetooth 等の小電力データ通信システムの無線局等が該当する。
これらの小電力の無線局は、無線局免許や無線従事者資格が不要だが、技術基準適合証明等(技術基準適合証明又は工事設計認証)を受けた適合表示無線設備でなければならない。具体的には、以下の技術基準適合証明等を受けた旨の表示(技適マーク)等により確認すること。
(3.2.3) アマチュア無線局
上記の無線局のほか、無人航空機にアマチュア無線が用いられることがある。この場合は、アマチュア無線技士の資格及びアマチュア無線局免許が必要である。
※アマチュア無線とは、金銭上の利益のためでなく、専ら個人的な興味により行う自己訓練、通信及び技術研究のための無線通信である。
また、無人航空機において FPV(First Person View)といった画像伝送が用いられることがある。アマチュア無線による FPV 無人航空機については、現在、無人航空機の操縦に 2.4GHz 帯の免許不要局を使用し、無人航空機からの画像伝送に 5GHz 帯のアマチュア無線局を使用する場合が多いが、 5GHz帯のアマチュア無線は、周波数割当計画上、二次業務に割り当てられている。このため、同一帯域を使用する他の一次業務の無線局の運用に妨害を与えないように運用しなければならない。特に、5.7GHz 帯では無人移動体画像伝送システムが用いられているほか、5.8GHz 帯は、DSRC システムに割り当てられており、主として高速道路の ETC システムや駐車場管理等に用いられているので、それら付近での使用は避ける等、運用の際には配慮が必要である。
(3.2.4) 携帯電話等を上空で利用する場合
携帯電話等の移動通信システムは、地上での利用を前提に設計されていることから、その上空での利用については、通信品質の安定性や地上の携帯電話等の利用への影響が懸念されている。こうした状況を踏まえ、実用化試験局の免許を受ける、又は、高度 150m 未満において一定の条件下で利用することで、既設の無線局等の運用等に支障を与えないことを条件に、携帯電話等を無人航空機に搭載して利用できるよう、制度を整備している。詳細は総務省電波利用ホームページを確認すること。
3.3 その他の守るべき法令等
ここからは無人航空機操縦者技能証明の学科試験には出題されません(2023年2月現在)
しかしながら、ドローン操縦者にとって最低限覚えておくべき法規制ですので解説します。
3.3.1 プライバシー保護法
無人航空機で撮影した映像中に個人情報やプライバシーに当たる内容が含まれ、それを無断でインターネット・SNS等で公開した場合は、プライバシーや肖像権等の侵害に当たり損害賠償請求の対象になりる。プライバシー侵害等の行為が行われた場合は、民事上、撮影者は被害者に対し損害賠償責任を負う。
また、撮影した映像を公開する予定がなくても、浴場、更衣室、便所など通常衣服をつけないような場所を撮影した場合、軽犯罪法や迷惑行為防止条例に該当し処罰を受ける。
<具体的に注意するべき事項>
1. 住宅地にカメラを向けないようにする
2. プライバシー侵害の可能性がある撮影などには公開時にぼかしを入れるなど配慮すること
3. 公開した映像に削除依頼が来た場合は、適切に対応すること
3.3.2 民法
民法では、私有地の権利は土地の上下に及ぶとされており、一般に土地の上空・地下も土地所有者が権利を有する。無人航空機が飛行できる高度は、一般に土地権利者が航空の可否を決定できる。
よって、承諾無しに、第三者の土地に無断で無人航空機を飛行させることは違法行為であり、プライバシー侵害や、墜落によるヒトやモノの損傷、飛行すること自体の騒音や恐怖などについて、土地の権利者は損害賠償請求を行うことができることになる。
3.3.3 道路交通法
道路交通法において、無人航空機を規制する明確な条文はない。(2023年2月)
無人航空機の航空において交通の危険や障害発生になるかがポイントになる。多くの車が行きかう道路上での無人航空機の飛行は、重大な事故につながる恐れがあるため避けるべき。
3.3.4 河川法
河川法では、現在のところ無人航空機の飛行に関する制限はない。(2023年2月)
しかしながら、河川法で定義された河川管理者が、無人航空機の河川での飛行を禁止している場合がある。河川上空で無人航空機の飛行を行う場合は、飛行が禁止されていないか河川管理者に確認した方がよい。
上記の法令に加え、その他の法令等又は地方公共団体が定める条例に基づき、無人航空機の利用方法が制限されたり、都市公園や施設の上空など特定の場所において、無人航空機の飛行が制限される場合がある。例えば、東京23区の公園での無人航空機の飛行は、条例によって禁止されている。
こうした法令等や条例については、国土交通省ホームページに一覧等が掲載されている(条例の最新 の情報については地方公共団体に確認すること)。
3.3.5 飛行自粛要請空域
法令等に基づく規制ではないが、警備上の観点等から警察などの関係省庁等の要請に基づき、国土交通省が無人航空機の飛行自粛を要請することがある。飛行自粛要請空域が設定される場合には国土交通省のホームページ・Twitter にて公示するため、無人航空機の操縦者は、飛行を開始する前に、当該空域が飛行自粛要請空域に該当するか否かの別を確認し、その要請内容に基づき適切に対応すること。
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