ドローンを飛させる人にとって、空港が周辺にあるかどうかは重要です。
なぜなら空港周辺ではドローンの飛行が厳しく制限されているからです。
業務で飛行させる方や、凝った空撮映像が撮りたいドローンパイロットが、
どうしても空港周辺でのドローンの飛行が必要な時に
・どこに問い合わせする必要があって
・どんな用意が必要なのか
について、実際に空港周辺で飛行手続きを行った経験をもとにお教えします
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空港周辺の飛行制限空域って?
全てのドローン(無人航空機)は、航空法を守らなければなりません
航空法は、空を飛ぶもの、飛行機やヘリコプターなどについてのルールを定めた法律です。
飛行機が集約する空港周辺では、空の安全を守るために航空法によってドローン飛行に対して規制が設けられています
例えば、日本国内における主要空港(新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、大阪国際空港、関西国際空港、福岡空港、那覇空港の8空港)において
・空港の敷地・区域やその周辺概ね300mの地域の上空は飛行禁止!(模型航空機も含む)
・滑走路の延長線上は、中心から約4.5km先まで飛行禁止!
・空港から半径4km周辺までの全域で、飛行可能空域が標高45m未満までに制限される
・空港から半径4kmを超える地点でも、空港からの直線距離で算出された制限標高未満しか飛行できない(半径16kmの地域まで)
・制限標高 検索システム
東日本 国土交通省 東京航空局
西日本 国土交通省 大阪航空局
詳しくはこちらから
連絡先
https://www.mlit.go.jp/common/001515201.pdf
・空港周辺であっても申請不要で飛行できることもある
上記の規制条件に反しない飛行であれば、空港周辺(空港から半径16kmの範囲)であっても、許可なく飛行することができます
(DID地区での飛行や、人物から30m以内の飛行などは相応の許可が別途必要)
例えば、空港から3kmの自宅の庭で、高さ約10mまでの飛行(標高45m未満)であれば、空港周辺の規制には該当しません。
コチラも参照
空港周辺で飛行させるための個別申請手順
上記の航空法における、空港周辺規制が適用される飛行を行わなければならないとき、飛行申請が必要です。
よく知られる包括申請ではなく、個別申請が必要になってきます。
では実際に個別申請の具体的な申請手順を紹介しましょう
下記の順番で行います
- 飛行計画を整理する
- 空港設置管理者に連絡する
- 空域管轄機関に連絡する
- DIPSで個別申請を行う
- 飛行許可を得られたら、具体的な飛行日時を空域管轄機関に別途連絡し飛行させる
一つずつ順番に詳しく解説します。
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飛行計画を整理する
まずは飛行させる場所や、飛行条件などの飛行計画を整理しましょう。
これは、後述の空港設置管理者や空域管轄機関、DIPS申請時にも報告する必要があります
① 飛行場所
飛行する範囲多角形の緯度経度(10or60進法)を指定する必要がある
飛行エリアが円の場合は、中心の緯度経度と半径〇〇mなどで表現することもできる
② 最高到達高度
飛行する可能性がある最高到達高度は、海抜で何mか
例えば、標高が50〜100mある地域を飛行範囲とし、そこを一律100mの高度で飛行させる場合は、最高到達高度は海抜で 200m となる
③ 飛行期間
飛行させる期間を指定する必要がある。期間に十分にゆとりを持って申請しよう
また、DIPS申請から許可が降りるまで、申請後に修正・補正指示がなくストレートで通っても
10日前後(開庁日のみ)かかることがある。許可が降りるまでの期間も考慮しよう。
④ 飛行目的
飛行目的を簡潔に伝えよう。不必要な飛行とみなされる場合は飛行許可はおりない。
(趣味や練習などは不必要な飛行とみなされる)
⑤ その他に航空法の制限となる飛行条件の整理
DID上空や目視外・夜間飛行、150m以上飛行させるなどの場合はさらに許可がおりにくくなる。
できる限り避けるように工夫したい
空港管理事務所 及び 空域管轄機関 に連絡する
飛行計画が整理できたら、該当する空港の2つの管理部門に連絡しましょう
DIPS申請を行う上で、下記2つの管理部門からの「回答」を記載する必要があります
①空港設置管理者
・・・空港機能の保全を図るため、航空機の運航に影響を与えるような物、 航空保安システムの性能に影響を与えるおそれのある開発等、空港内のみならず、空港 辺の開発動向等を把握し、必要な調整を図る部門
②空域管轄機関(管制官)
・・・全国の空港で飛行機が順序よく離着陸できるように、また空中での衝突を防止するためにパイロットに無線を使って飛行方法を指示するなど空の交通整理の仕事を担っている部門
上記の連絡先については、こちらからご確認ください
特に②空域管轄機関へは、飛行情報について詳しく確認される場合があります
必要に応じて飛行日時を制限したり、飛行範囲を縮小されることも検討しましょう
2つの管理部門から回答が出て、問題なければいよいよDIPS申請に進みましょう
DIPSで飛行許可申請を行う
DIPS申請では、飛行する場所と期間を指定した「個別申請」を行います
包括申請は行えないのでご注意ください
DIPS2.0へログインし、「必要な許可・承認申請」>「新規申請」へ進みましょう
STEP0 カテゴリー判定
まず飛行方法を尋ねられますので、
□ 空港周辺
にチェックを入れます。
カテゴリ判定では、カテゴリⅡA、あるいはカテゴリⅢに分類されるはずです。
STEP1 飛行の概要入力(飛行の目的、理由、期間等)
ここでは整理した飛行情報を記載していきましょう。
「年間を通して飛行するか」「飛行場所を指定するか」と尋ねられますが、
飛行場所と飛行期間は必ず指定する必要があります。
また、空港設置管理者及び空域管轄機関との調整内容を尋ねられます。
上記2つの管理部門から受けた回答を記載しましょう
STEP2 飛行詳細入力(場所の詳細指定)
続いて飛行場所の指定に移ります
DIPS上で飛行経路の地図を作成する必要がありますので、地図上で作図して下さい。
申請先を入力する必要がありますので、先に調整した空港設置管理者を選びましょう
STEP3 機体・操縦者選択(飛行機体・操縦者・飛行マニュアル)
飛行させる機体と、操縦者、及び運用マニュアルを指定します。
基本的には、「航空局標準マニュアル1」で申請することをおすすめします。
独自マニュアルで運用させる場合、申請後に補正指示がくる等、審査が厳しくなって許可どりに時間がかかったり許可が下りない可能性も高くなるからです。また航空局標準マニュアル2は使用不可です。
STEP4 その他詳細等入力画面
・加入している保険情報入力
保険に加入している場合は、保険会社名、商品名、補償金額(対人および対物)を入力しましょう。
保険未加入の場合は賠償責任能力について記載する必要があります。
・その他特記事項欄
「飛行予定時間」
「同時に飛行させる機体数」
「飛行前日までに、飛行日時・許可番号を指定の空港事務所に連絡する」
「飛行の中止、または日時を変更する場合は停滞なく空港事務所に連絡する」』
と記載して下さい。
・添付ファイル
必要に応じて、ファイルを添付します。例えば・・・
飛行する機体に改造を施しており、改造に関する詳細ファイルを添付する
⇨機体本体には手を加えていなくとも、操作アプリが純正のものでなかったり、
搭載するペイロードがサードパーティ製のものであった場合も該当します。
空港管理事務所や管轄機関との書面で文書、飛行区域の詳細な地図などを添付することもできます
個別申請はこれで完了です。
しばらくして、dips上で申請状況確認が更新されます。
申請内容に不備や誤りがあれば修正依頼とその内容が伝えられますので、必要なら空港設置管理者などに問い合わせして修正して再申請しましょう。
無事に申請が完了したら、許可証が発行されます
飛行許可を得られたら、定められた期間内に飛行しましょう。
当然ですが、事前にdipsでの飛行計画通報が別途必要です。
また、飛行直前に空域管轄機関の担当者に連絡する必要があります。忘れずに連絡しましょう。
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以上が、空港周辺で規制がかかる空域で飛行させる場合の申請手順になります
かなり申請手続きに時間と労力を要しますが、その分、ほとんどの方が飛行させたことのない場所で飛行できるので、貴重なデータをとることができます。
もしどうしても空港周辺で飛行させる必要が出てきたときは、ぜひ参考にしてみて下さい。
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